先住民族アボリジナル・ピープルについて



・オーストラリアに住む先住民族をアボリジナル・ピープルと呼びます。
・アボリジナル・ピープルは、少なくとも今から約4~6万年前、(一説には10万年以上前とも言われています)第4氷河期の中頃、オーストラリアに渡来しました。当時の海面は122メートルも下がっており、 アジア大陸とジャワ、ボルネオ等が陸続きとなった[スンダランド]と、今のオーストラリアとニューギニアが陸続きとなった[サフルランド]が存在していました。近いところでは、80kmと隣接していたそうです。

・この時にスンダランドからサフルランドへ渡来したモンゴロイドが今のアボリジナル・ピープルや、ニューギニア高地人の祖先となりました。
※その後の温暖化現象により海面が上昇し、大陸であった部分がやがて島国となり、アジアからオーストラリア、ニューギニアへの移住が数万年に及び途絶えました。 アジア人から隔離された彼らは、当時の古いタイプの特徴が今日まで残りました。その後変化をとげたアジア人とは形態的に大いに異なるところとなりましたが、遺伝子レベルでみると他の地域よりアジア人に近い事が分かっています。


■大自然で生きる知恵『ドリーミング』




・文字文化を持たないアボリジナル・ピープルが、彼らの生活の知恵や歴史、掟、猟の方法から葬式、天地創造の神話などを歌や踊り、アートとして伝承してきました。それを「ドリーミング」と呼びます。
独特の世界観を受け継ぎ、農耕を行わず、自然と調和し、先祖や自然界の精霊に耳を傾け生活してきた彼らは、過去から伝承してきた教え「ドリーミング」と共に生きてきました。 それは、太古の昔から、今この瞬間も絶え間なくつづいている物語なのです。


■アボリジナル・ピープルの民族旗




・1971年、南オーストラリアで初めてあげられました。中央の黄色は生命の根源である太陽を表し、上半分の黒はアボリジナル・ピープルの肌の色を、下半分の赤はオーストラリアの大地の色と過去の歴史で流した血の色を表しています。


■苦難の歴史


・18世紀、植民地時代に英国人船長キャプテン・クックによってオーストラリア大陸が発見された時には、オーストラリア全土に500~700の部族が存在していました。しかし、狩猟採集民族であったアボリジナル・ピープルは、一ケ所に定住せず、各々の部族が所有するテリトリー内を移動しながら生活していた為、イギリス政府は彼らの土地所有権を認めず英国領植民地となりました。
その後、入植者達から土地を奪われ、虐殺や様々な迫害、同化政策、等々の苦難の歴史の末、 アボリジナル・ピープルの人口は30万人から、6万人程に減少しました。
・1967年の国民投票で、先住民に他のオーストラリア人と同等の法的な権利が認められるに至りましたが、土地の返還や伝統的な文化の消失など解決出来ていない問題はまだまだ残っています。